2011年7月13日水曜日

その16

転載



経済立て直しに奔走する中央指導者
江沢民氏の例の騒動ですっかり隠れてしまっている感がありますが、中国経済も「いよいよ」というところまで来ているのではと思わせる状況になっています。

その証拠に7月に入り、中央の指導者による地方の経済状況の視察が相次いで行われているのです。「経済参考報」の記者が整理したところでは・・・

▽賈慶林全国政協主席が1、2の両日に大連市を視察。
▽王岐山副総理が1、2の両日に石家荘市を視察。中小企業金融サービス座談会開催
▽温家宝総理が3、4の両日に遼寧省の瀋陽市などを視察。
▽李克強副総理が4、5の両日に安徽省で経済社会発展状況について視察
▽温家宝総理が9、10の両日に陝西省で価格安定について視察

これらの視察はすべて、地方の経済状況について行われた視察です。挙げてみただけでも10日余りで5回も行われているわけで、普通の人なら誰もが「多すぎなのでは」と思ってしまいます。これだけ中央の指導者が地方経済に懸念を示しているのにはわけがあります。それが国内外メディアから最近急速に注目を集めている「融资平台公司(融資プラットフォーム企業)」の存在です。

融資プラットフォーム企業の詳しい解説は、「KINBRICKS NOW」さんの解説が詳しいのでそちらを参照していただきたいのですが、ようは地方のインフラ建設の資金調達のために設立された地方政府管轄のノンバンクのことを指します。高騰し続ける土地を担保として金融機関から借りるという手法で、資金調達をつづけていましたが、昨今の土地価格抑制政策で土地が大幅下落しているため、大量の不良債権を抱える可能性が出ており、いわゆる「中国経済の爆弾」とも言われているのです。

その融資プラットフォームの融資残高が14兆元に達していることが6月初めに中国人民銀行から発表され、国内外の関係者は衝撃を受けました。しかし、それは中央政府も同じ気持ちだったに違いありません。

6月13日には国務院から、「地方政府の融資プラットフォーム企業の管理を強化することに関する通達」が出され、融資プラットフォーム企業の債務について全面的な洗い出しを行い、これらの企業による融資行為を規範化するよう指示が出されました

6月27日の第11期全人代第21回会議の席上で、審計(会計監査)署の劉家義審計長が2010年度の会計監査報告を行い、全国の省、市、県の地方政府の債務残高が2010年末時点で実に10兆7000億元余りに達していることを報告しました。

和訪網によると、この10兆7000億元余りの債務のうち、政府が償還の責任を負っているものは62%余り、政府が担保責任を負っているものが22%近く、政府が一定の救済責任を負わなければならない債務が15.5%余りとなっています。

これほどまでに債権が膨れ上がってしまった原因はやはり、中央の「経済建設」の号令の下、地方が償還能力を超えた融資を行い、経済的実体を伴わない見切り発車的なインフラ建設を何年も続けてしまった結果だといえるでしょう。

ともあれ、融資プラットフォームに対する日増しに高まる懸念に対して、中国人民銀行の報道官は先ごろ遂に口を開き、「地方政府による融資プラットフォームの債権が14億元であると推測している人がいるが、その推測は誤りである。融資プラットフォームのリスクは抑制可能である」と釈明しました。 いわば、融資プラットフォームのリスクは中国経済に影響を及ぼさないという強気の考えを示したのです。

そうはいっても、温家宝総理は7月4日から現在までですでに、4回にわたって経済情勢座談会を開催しています。

また、6日には温家宝総理主宰で国務院常務会議が開催されました。会議では、2010年度の会計監査で噴出した地方政府の債務の問題について、「一部の重大な民生プロジェクトの管理や財務、金融、投資などの分野にはまだいくつか問題が存在している」との声が上がっており、「一部中央企業では、重大な政策決定や財務の確認、内部統制などの面で十分規範化されていない。長年にわたって形成されてきた地方政府の債務は比較的大きく、一部地域や業界の債務償還能力は劣っており、リスクが存在している。これらの問題は一部の制度や管理上において抜け穴が存在していることを曝け出しており、必ず大いに重視する必要がある」と指摘されました。

これらの言動を見ている限りではやはり、政府の危機感が感じ取れてしまいます。上海や深センの証券取引市場の株価も大きく値を下げており、もはや中国のバブル崩壊が本格的に始まったと見ていいのではと私は思っています。

0 件のコメント:

コメントを投稿