(この日記はmy日本に2月24日に掲載したものを一部転載いたしました。)
昨日の報道で、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3国が
日本のTPP参加への態度を保留したとのことです。
是が非でも参加したい官僚達は、与党民主党の意向を確認せずに
「米国から『全品目をテーブルに乗せる用意がなければ参加させない』と言われ、(日本側は)『全品目をテーブルに乗せる』と明言したとのことです…」
という事を言ってしまい
「政府の方針は変わったのか」-。踏み込んだ対応に、TPP反対派の民主党議員たちは外務省幹部に罵声を浴びせた。 もちろん民主党ばかりではなく、自由民主党からも猛烈な抗議の声が挙がったということです。
参考)TPP事前協議一巡 米が「全品目対象」要求 米国内の手続きと国内政局からみ、問われる覚悟 http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120223/mca120223221401...
これに対して、経団連の機関誌日本経済新聞は
本日付の社説「TPP国内調整のテンポが遅すぎる」のなかで
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A9688...
これでは野田政権が何を目指しているのか、国民には全く分からない。現実に米国などとの協議が進んでいる。具体的な説明で、根拠が薄い不安は解消し、懸念すべき交渉事項が見つかれば、その論点をはっきり示すべきだ。
TPPは日本の成長力と国民生活を左右する重要課題だ。消費税問題に取り組む局面で政治的な波紋を恐れて、真剣な議論を避けるのであれば、それは国民に対して不誠実な姿勢である。 と消費税増税問題で支持率がガタ落ちしレームダックになりつつある野田政権にむちゃな要求をしています。
どうしてこんなことになったのでしょうか?
それは、参加反対の圧倒的な世論を無視して参加表明した野田政権そのものにあるでしょう。
世論の猛反発を前に、国内向けの説明には「参加に向けた事前協議に入る」という言葉でお茶を濁して
実質的な「参加表明」をしたのですが
その二枚舌が、各国に不信感を抱かせる原因になったのでしょう。
10月後半から11月の実質参加表明まで
国内の世論は反対がほとんどで推移しました。
連日日本各地で発生した参加反対の集会・デモ
おそらく参加者は延べ数で10万人近くに上るのではないでしょうか?
TPPに参加している他国でもニュージーランドなどでは、反対のデモが起きていたようですが
日本のデモは規模が3桁以上大きいです。
いくら日本のマスコミお得意の捏造報道でも集会デモの規模まではごまかしきれなかったのでしょう
もちろん、我々保守派のデモは思いっきりごまかされましたが・・・
その時点でTPP参加9カ国の目線では、日本の参加はないなと判断されていたのではと推測します。
にもかかわらず、野田首相は参加を表明しました。
各国に不信感が生まれないわけがない。
そして、案の定野田内閣の支持率は、マスコミがごまかしているにもかかわらず急落です。
マスコミは参加に向けてあいまいな態度をとったから支持率が追ったのだとわけのわからない説明をしましたが
参加表明への猛反発で支持率が落ちたのは隠しようがないでしょう。
しかも、参加表明で反対派の国会議員が鉾を納めるかと思いきや、各国にでかけていきその国の反対派と共同し始める始末。
挙句の果てに、日本の国内の国民に対する説明会では
TPP説明、悩む政府 「中立」優先、歯切れ悪く http://www.asahi.com/politics/update/0220/TKY201202190453...
政府代表として出席した古川元久国家戦略相は「TPPとは関係なく、農業は対応を考えなければいけない」などと防戦一方。「実際に参加するかどうかはまだ決めていない」と、3回も繰り返した。 この始末です。
TPPの参加各国が日本国内の動向を注視していないなんて信じている
脳内お花畑は日本のBKDな官僚とマスコミぐらいでしょう。
これでは、日本の離脱の可能性に恐れをなして日本の参加を簡単に支持するわけにはいきません。
ましてTPPは秘密条約の性格があります。
TPP交渉に「守秘合意」/発効後4年間、内容公開せず http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-22/2011122201_...
下手に参加を認めて
途中で離脱されたうえ情報を漏らされればTPPそのものが瓦解してしまいます。
もちろんアメリカにしてみれば日本の市場は魅力的ですが
せっかくのTPPをご破算にする危険性を冒してまで無理に参加はさせないでしょう。
日本の覚悟が問われるとは少なくとも
野田佳彦の本気度でもなくましてや官僚の参加表明でもなく
捏造されたマスコミのアンケートでもなく
TPPに参加に向けた国民の合意形成ができると言うことでしょう。
消費税増税問題と併せて野田首相の勘違いはここにあります、
総理大臣が表明すれば全て決まってしまう。。。と
そうではありません。日本では国民が決めるのです。
しかし、参加に積極的なその民主党野田政権はすでに消費税問題で
支持率がガタ落ちし辞職寸前です。
民主党の議員の半数が反対に回っている現状では、
仮に4人目の民主党の首相が誕生することになると民主党内をまとめるために
TPP参加に対しては野田政権より一歩も二歩も引いた態度で臨まなければなりません。
官僚がいくら騒ごうと、当然TPP協議には急ブレーキがかかるでしょう。
官僚に甘い野田政権のもと好き勝手をしているようですが
官僚に協議を進める権限は与えられていません。
TPP推進派の官僚達にしてみれば9カ国に参加が認められるまで
もっと言えば、TPP参加の条約締結をしてもらうまで
(もちろんここまで野田政権の支持率が下がれば、条約締結も簡単ではないでしょうが・・)
野田政権に倒れられたら困るのです。
参加が認められる時期は、早くて7月、8月、
反対派が根強く活動している今現在の日本国内の状況では、
下手をすると年内いっぱい掛かってしまうかもしれません。
日本の態度がハッキリとするまで、アメリカは日本の参加への本気度を試すため
のらりくらりとした態度で、
到底日本国民が飲めないような要求を突き付けて日本の参加承認を引き延ばすでしょう。
解散総選挙になればTPP参加に猛反発している農家、日本医師会が
各国会議員に対してTPP不参加の踏み絵を踏ませます。
圧倒的な組織票をもっている二つの団体を敵に回しているのです。
TPP参加派の国会議員もさすがに一歩引いた態度で臨まざるをえない。
今はっきりと、TPP参加には黄色信号が点りました。
前掲した本日付の日本経済新聞の社説には
そのことに対する経済界の焦りが表れているのでしょう。